
CPAP専門外来
CPAP専門外来
CPAP療法は中等度から重症の方(無呼吸の回数が1時間に20回以上)に有効な治療法です。睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、空気の圧力によって気道を開存させることで呼吸が止まらないようにします。
①マスクのフィッティング、もれないように密着させる
②マスクの種類の選択、鼻タイプ、鼻孔タイプ、フルフェイス
③オートモード、圧力の設定
④1ヶ月後にCPAPのデータ(無呼吸回数、圧力、使用時間、漏れ)を確認
以下の3種類のマスクを用意しています。装着感、空気漏れ、治療効率などを見ながら適切な形を選んでいきます。
鼻にマスクを装着し、おでこに支えをのせバンドを巻いて固定します。視界は遮られますが安定感があります。
ピロータイプのマスクで鼻の穴に直接空気を送り込みます。鼻だけの装着なので快適性が高い。
フルフェイスタイプで鼻と口を覆うマスクを装着します。口呼吸の方でも使用できます。
①CPAP導入時は送られてくる空気の圧力を不快に感じる事が多く、慣れるまでは低めの
圧力に設定します。空気圧に慣れてくれば徐々に圧力を上げていきます。
②睡眠中の体位や姿勢によって必要な圧力は随時変動しますが、自動CPAPモードでは空気の通り道が塞がれないようにする必要最小限の圧力が随時自動でかかります。
③高すぎる圧力によって不快感から覚醒してしまったり、食道から胃に空気が送り込まれたりしないように上限圧を設定します。
逆に低すぎる圧力によって全く無呼吸が改善しない状態を避けるために下限圧を設定します。
①いびき、無呼吸、夜間頻尿、起床時の頭痛や熟睡感、日中の眠気、疲労感などが改善します。
②高血圧、不整脈、心不全、脳梗塞などの心血管系の合併症を予防します。
③糖尿病、認知症、がん、脂肪肝、逆流性食道炎、うつ、男性機能などの改善が期待できます。
③CPAP治療の報告のまとめ
・収縮期血圧を約10mmHg低下させた
(Circulation 2003; 107: 68–73)
・心拍数を低下させる
(Craig S, J SLEEP RES 18 (3) 329 – 336 (2009) )
・糖尿病が改善した
(Babu AR et al. Arch Intern Med 2005
・Harsh IA et al. Am J Respir Crit Care Med 2004)
・心不全入院を減らす
(Kasai T et al.Chest. 2008 133:690-6.)
・狭心症に対する再カテーテル治療率を低下させた
(Xiaofan Wu et al,Chest 147 (3) 708 – 718 (2015) )
・脳梗塞患者の生存率は健常人と同じ程度に改善
(Am J Respir Crit Care Med 180:36-41. 2009)
・CPAPによる脂肪肝改善
(Lung. 2010 Aug;188(4)301-7)
・夜間尿量が183ml減り、尿回数が2回へった。
Int Neurourol J 2015;19:178-184
・抑うつ症状が改善された。
(精神経誌(2010)112 巻9号)
・抗うつ薬や睡眠薬を減量中止できた。
(行動医学研究 Vol.23, No.2, 58-62, 2018)
・勃起不全の改善を認めた
(J Sex Med. 2007 Jul;4(4 Pt 2):1153-62. )
40代の男性です。マルファン症候群による急性大動脈解離で入院されました。複数の降圧剤を使用するも収縮期血圧は150mmHg未満に下がりませんでした。重症の睡眠時無呼吸症候群と判明し、CPAP治療を開始したところ、翌朝に収縮期血圧が104mmHgに低下しました。利尿が得られ、胸水は消失し全身状態も改善しました。
50代の男性です。心臓カテーテル検査にて冠攣縮性狭心症と診断され、3種類の冠拡張薬(アダラートCR、ヘルベッサーR、アイトロール、シグマート)を服用していましたが、冷や汗を伴う胸痛発作で搬送されてきました。ニトログリセリンを使用すると胸痛は消失しますが、その後も胸痛発作を繰り返しました。重症の睡眠時無呼吸症候群と判明し、CPAP治療を開始したところ、胸痛発作は起こらなくなりました。
無呼吸症候群の原因が取り除かれれば、CPAP治療を中止できる可能性があります。例えば、肥満の方は痩せることで無呼吸が解消されるため、CPAP治療を中止できる場合があります。また、鼻中隔湾曲症や副鼻腔炎、扁桃肥大の治療をすることで鼻呼吸が改善され、CPAP治療の中止に至ることもあります。CPAP治療の目的はしっかりと睡眠をとり、合併症を予防することなので、根本的な原因が解消されない場合はCPAP治療を継続していくことが必要になります。
8割以上の期間で1日4時間以上の使用を継続することで合併症の予防効果が期待できます。毎日6時間以上の装着で更なる効果が期待できます。しかし、1時間の使用でも一定の予防効果があるという報告もあるため、可能な範囲でCPAP治療を継続することが重要です。
CPAP治療機器の監視システムによって、CPAPの使用期間と使用時間が記録され、どのくらいの圧力でどの程度無呼吸が解消されているか、空気漏れはどの程度なのかなどの情報がわかるようになっており、診察時にフィードバック致しますので、客観的な治療効果を確認できます。又、熟睡感が得られるようになったり、日中の眠気がなくなるなどの自覚症状の改善でも確認できることが多いです。
体重が減ることで、無呼吸が軽減している可能性があります。ただし、CPAPを中止する前に確認が必要です。CPAP使用後は、気道が広がった状態が数日間持続するため、CPAPを2週間中止した後に、簡易PSG検査を受けることをお勧めします。検査結果によって無呼吸の改善が確認されれば、CPAPの継続が不要になる場合がありますので、医師に相談しながら判断してください。
マスクを無意識に外してしまう原因として、マスクの違和感が強い、圧力が高すぎる、中途覚醒が起こる、鼻詰まりや口呼吸などが考えられます。これらの問題に対して、マスクの快適性を向上させ、圧力の調整を行い、鼻詰まりや口呼吸の対策を行えば多くの場合、適切な対処によって克服可能ですが、難しい場合もあります。ただし、少しの時間でもCPAPを使用することで合併症の予防効果が期待できますので、可能な範囲で継続使用をお勧めします。
最初の1時間の睡眠の質は、その日の睡眠全体に大きく影響すると言われています。そのため、CPAPの装着が最も有効なのは、睡眠の最初の1時間です。もし食後にどうしても横になりたい場合は、早めに寝室に移動し、寝落ちする前にCPAPを装着することを心がけましょう。そのためにはCPAPの準備を食事前に済ませておくことが大切です。また、可能であれば食後すぐに横になることを避け、軽い活動を取り入れることで眠気をコントロールするのも効果的です。これらの工夫を取り入れて、CPAPを継続的に使用する習慣をつけましょう。
マスクによる違和感を強く感じる場合があります。最初は短時間の使用から始め、徐々に使用時間を延ばしていくことをお勧めします。毎日1時間程度の使用でも合併症の予防につながるため、継続することが大切です。マスクのバンドは緩めに締めつつ、空気が漏れない程度に調整します。適切なサイズや形状のマスクを選び、圧力の調整を行いながら、時間をかけて慣れることによってほどんどの場合はマスクの違和感は解消されていきます。焦らず、自分に合った方法で少しずつ対応して行きましょう。
空気が送られ続けることで鼻腔内が乾燥して痛みを感じることがあります。CPAP装置に加湿器を接続することで、痛みが改善する場合があります。又、機種によってはCPAPの送気温度を上げることで乾燥感が軽減する場合があります。マスクの圧着による痛みの場合はマスクのサイズや形状を選び直し、バンドの締め具合を調整し、クッションなどを挟むと痛みが軽減する場合があります。
CPAP治療の主な副作用としては、鼻や喉の乾燥、鼻詰まり、耳の不快感、マスクによる肌荒れ、空気漏れの音、胃に空気が入るなどがあります。これらの副作用に対しては、加湿器の利用、圧力の調整、マスクのサイズや素材の見直しなど、適切な対応を行うことで改善が期待できます。困ったことがあれば、医師や技師に相談することをお勧めします。
国内外を問わず、CPAPを持参し使用することが可能です。旅行や出張中でもCPAP治療を継続することで、治療効果を維持することが望ましいです。事前に宿泊先に問い合わせ、CPAPを使用するための電源環境を確認しましょう。必要に応じて、延長コードや変圧器やプラグアダプターを準備します。各メーカーでは、海外渡航用のCPAP説明書やサポートガイドを提供していますので、必要に応じて事前に相談してください。
1割負担 | 約4500円/月 |
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2割負担 | 約3000円/月 |
3割負担 | 約1500円/月 |
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