心筋梗塞を予防する方法とは?
心筋梗塞の危険因子をしっかりと管理することで心筋梗塞を予防することができます。
冠危険因子と言われる高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、などを管理することから始めましょう。
血圧を下げて心筋梗塞を予防する

血圧120以下を目指し、ARBやカルシウム拮抗薬だけでなく利尿剤も使用することで心筋梗塞を28%減少させた。
血糖値を下げて心筋梗塞を予防する

予備軍の段階で死亡率が2倍になっています。これは、HbA1c が正常範囲内であっても、食後の血糖値の上昇が心筋梗塞を引き起こす可能性を示唆しています。心筋梗塞を予防するには、血糖値スパイクを抑えることがとても大切です。
糖尿病予備軍

糖尿病予備軍に対してアカルボース(糖の吸収を遅らせるαグルコシダーゼ阻害薬)を投与することで心血管イベントを49%減少させ、心筋梗塞を91%減少させた。
2型糖尿病

2型糖尿病に対してSU剤やインスリン治療によって10年間に渡って血糖値を下げると、HbA1c7.9➡7.0%に低下し、糖尿病関連死は17%減少、心筋梗塞は15%減少、細小血管障害は24%減少した。

肥満の2型糖尿病に対してメトホルミンで血糖値を下げると10年後の糖尿病関連死は30%減少し、心筋梗塞は33%減少した。
早期から薬物によって血糖値を下げることで得られる効果が10年間持続しており、“legacy effect(遺産効果)”と呼ばれている。血糖値に関しては早期からしっかり下げることが大切であることを示している。
コレステロールを下げて心筋梗塞を予防する

心筋梗塞の再発を予防するのに最も効果的なのがLDL低下療法である。冠動脈の新規の動脈硬化病変は3〜5年のサイクルで出現するが、LDLを40台に低下させることで再発リスクを50%低下させることが可能である。

LDLコレステロールが生涯かけて動脈壁に蓄積していくという考えがある。例えば、LDLコレステロール値=120×50年=6000で心筋梗塞に至るとすると、残存病変がLDL-C=120×5年=600で心筋梗塞に至るとすれば、LDL-C=50に下げれば、50×12年=600なので、5年➡12年に延ばすことが出来るという考えである。
スタチン治療で冠動脈プラークが退縮する?

スタチン治療でしっかりとLDLコレステロールを低下させることで、冠動脈プラークの体積が減少し、石灰化が増加してきます。結果、プラークが安定化することで、プラークの破綻による心筋梗塞が生じにくくなります。LDLコレステロールを目標値まで下げることで、心筋梗塞の発症を大幅に低下させることが期待できます。