【健診でB判定】「ビールを美味しく飲むために毎日泳ぐ」50代男性が心停止に。|おおや内科 糖尿病・心臓クリニック|神戸市灘区のJR六甲道から徒歩5分

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【健診でB判定】「ビールを美味しく飲むために毎日泳ぐ」50代男性が心停止に。

【健診でB判定】「ビールを美味しく飲むために毎日泳ぐ」50代男性が心停止に。|おおや内科 糖尿病・心臓クリニック|神戸市灘区のJR六甲道から徒歩5分

2026年1月14日

【健診でB判定】「ビールを美味しく飲むために毎日泳ぐ」50代男性が心停止に。

こんにちは。神戸市灘区・六甲道駅・灘区役所1階の「おおや内科 糖尿病・心臓クリニック」院長の大屋です。

今日は、私が担当したある患者さんの事例を通して、「健康診断B判定の裏に潜むリスク」についてお話しします。

50歳、水泳中に突然の心肺停止

その患者さんは50代の男性。 少しお腹が出ている、いわゆる「メタボ体型」の方でしたが、健康意識は高く、毎日スポーツジムのプールで泳ぐのが日課でした。

彼が毎日泳ぐ理由は「夜のビールを美味しく飲むため」とのこと。 「運動して汗をかけば、ビールも食事もチャラになる」 と思っていたそうです。しかしある日、いつものようにプールで泳いでいる最中に突然意識を失い、心肺停止状態となったのです。

原因は、急性心筋梗塞による「致死性不整脈」でした。

幸いなことに、ジムに居合わせた方々の迅速な蘇生措置と救急隊の電気ショックにより、心臓は息を吹き返しました。その後、緊急カテーテル治療により一命を取り留め、後遺症もなく退院されました。

「健診でB判定」と「LDLは正常」の落とし穴

なぜ、毎日運動していた彼が心筋梗塞になったのか、 過去の健康診断の結果を振り返ると、以下の特徴がありました。

  1. 判定は「B」: 血糖値がわずかに高めでしたが、「要治療」ではなく「軽度異常・経過観察」レベルでした。
  2. LDLは正常、中性脂肪が高い: 一般的に動脈硬化の原因とされるLDLコレステロールは正常値でした。しかし、中性脂肪(トリグリセライド)は高値でした。

ビールを多く飲んでいるため、LDLコレステロールは上がらないものの、中性脂肪が上がりやすい状況だったと考えられました。

退院前検査で判明した「食後の高血糖」

入院時の採血は以下の通りです。

  • HbA1c(過去1-2ヶ月の血糖平均):5.7%(正常基準5.5%より少し高いですが、糖尿病基準の6.5%よりだいぶん低い)
  • 空腹時血糖値:107 mg/dL(正常基準100より少し高めですが、糖尿病診断基準の126mg/dLより低い)

一見すると、深刻ではありません。しかし、退院前にブドウ糖負荷試験を行ったところ、境界型糖尿病であることが判明しました。

  • 食後1時間値:212 mg/dL(急上昇!)
  • 食後2時間値:151 mg/dL以上(140以上で境界型、200以上で糖尿病型)

彼は、普段(空腹)の数値はそこそこなのに、食後だけ血糖値が急激に跳ね上がる「血糖値スパイク(食後高血糖)」を起こしていたのです。

心筋梗塞患者の「8割」は糖代謝異常?

私の経験では、心筋梗塞の患者さんのHbA1cは6.0%前後がほとんどです。6.5%以上が糖尿病であるため、「まだ糖尿病にはなっていないので大丈夫」と伝えている医師も多いと思われます。

しかし、以下のデータを見てください。これは、糖尿病と診断されていない心筋梗塞患者さん841名に負荷試験を行った研究データです。

  • 正常型:わずか17%
  • 糖尿病型+境界型(予備軍):83%

なんと、心筋梗塞を起こした人の8割以上に、隠れた血糖値異常が見つかっているのです。 たとえHbA1cが5%台や6%台前半であっても、食後のスパイクが繰り返されることで血管が傷つき、ある日突然、心筋梗塞の引き金となている可能性があります。

循環器専門医が血糖値スパイクにこだわる理由

心筋梗塞を防ぐために大切なこと。 それは「B判定だから大丈夫」と安心するのではなく、

「自分は食後に血糖値が上がっていないか?」を知ることです。

当院では、以下の検査・治療を行っています。

  1. ブドウ糖負荷試験(OGTT): 隠れたスパイクを見つけ出します。[気になる方はこちら
  2. フリースタイルリブレ: 24時間の血糖変動を可視化します。「ビールを飲んだ後、実はこんなに上がっていた」という事実が目に見えます。 [気になる方はこちら
  3. 血管管理: 中性脂肪が高い方特有の「質の悪いコレステロール」のリスクも評価します。[気になる方はこちら

「健診でB判定があった」 「お腹周りが気になる(メタボ体型)」 「運動は好きだが、お酒や食事も好き」これらが当てはまる方は、 今が対策のタイミングかもしれません。今の「B判定」のうちに対策を打つことで、血管をきれいに保ち、それが10年後のあなたの心臓を守ることにつながります。

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