2026年2月03日

③なぜ、糖尿病の人は「ビタミンB1」を飲むべきなのか?
~血管を守る「盾」としてのビタミン~
「食べたものをエネルギーに変える」。これを「代謝」と呼びます。
糖尿病治療において、カロリーや糖質量を気にする方は多いですが、「その糖をどう処理するか」に関わるビタミンB群、特に「ビタミンB1(チアミン)」の重要性は意外と知られていません。
今回は、糖尿病とビタミンB1に関する「衝撃的なエビデンス」と、当院が摂取を推奨する理由についてお話しします。

1. 糖尿病患者さんは、B1が「ダダ漏れ」状態?
非常にショッキングなデータがあります。2007年の『Diabetologia』に掲載された論文によると、糖尿病患者さんは健康な人に比べ、尿中へのビタミンB1排泄量が約15倍〜24倍も多いことが判明しました。
腎臓からの排泄が激増するため、いくら食事をしていても、血中のビタミンB1濃度は健康な人の約25%(4分の1)しかありません。つまり、慢性的な「ガス欠」状態なのです。

2. B1不足が招く「糖の毒性」
ビタミンB1は、糖を燃やしてエネルギーに変えるための「着火剤」です。これが不足すると、細胞内に溢れた糖はエネルギーになれず、処理ライン(解糖系)で渋滞を起こします。
渋滞した糖は、やがて別のルートへ溢れ出し、以下の悪さをします。
- 乳酸に変わる: 慢性的な疲労感、だるさの原因になります。
- AGEs(終末糖化産物)に変わる: これが最も厄介です。AGEsは血管の内側を傷つけ、ボロボロにする「毒素」です。

3. 血管を守る「バイパス手術」のような働き
では、ビタミンB1を補うとどうなるのでしょうか?
ここで重要なのが「トランスケトラーゼ」という酵素です。
ビタミンB1を十分に補うと、この酵素が活性化し、渋滞していた糖を「ペントースリン酸回路」という安全なバイパスルートへ流してくれます。これにより、血管を傷つける毒(AGEs)が作られるのを根本から防ぐことができるのです。
実際に、高脂肪・高糖質の食事をする前にビタミンB1を投与すると、食後の血管ダメージ(血管内皮機能低下)が完全に防げたという報告もあります(Diabetes Care 2006)。
つまりビタミンB1は、食後高血糖による「血管のサビ」を防ぐ盾となるのです。

4. 血液検査で「かくれビタミンB不足」を見抜く
ビタミンB不足は、一般的な血液検査項目であるAST(GOT)・ALT(GPT)で推測できます。
これらは肝機能の数値ですが、代謝にビタミンB6などを必要とするため、B群が欠乏していると酵素が作れず、数値が極端に低くなります。
当院では、これらの数値が「15以下」の方には、積極的なビタミンB群の摂取をお勧めしています。
まとめ:どのくらい補えばいいのか?
糖尿病の方や予備軍の方は、前述の通り「尿から漏れてしまう」ため、通常の食事(豚肉、うなぎ、玄米など)だけでは必要量を満たすことが困難です。
当院の推奨摂取量
吸収率を高めたビタミンB群として、
1日 50mg~100mg 程度
「最近疲れが取れない」「合併症が心配」という方は、ぜひ一度ご相談ください。適切なサプリメントや食事指導で、血管を守る体づくりをサポートします。