
痛風
痛風
尿酸は食べ物に含まれるプリン体が分解されてできる老廃物です。主に腎臓を通過して尿として排出されます。血液中の尿酸が多くなり7.0mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されます。
尿酸が高いだけでは、自覚症状はありませんが、進行していくと、結晶となった尿酸が関節・足の親指の付け根、足の甲や耳たぶなどにたまります。そしてその部分に炎症が起こり、赤く腫れ上がり、激痛の痛風発作が起こります。初めは一時的に痛みが収まりますが、突然に痛風発作が再発し、次第に慢性化します。
また腎臓にたまって結石ができると背中に痛みが生じ、尿管や膀胱に移行するとその部分で激痛を生じます。尿管で起こった場合は尿管結石、膀胱で起こった場合は膀胱結石といい、これらを合わせて尿路結石と言います。
高尿酸血症や痛風・尿路結石は、男性に圧倒的に多い病気です。女性は女性ホルモンによって尿酸値がコントロールされるため、男性に比べれば少ないのですが、女性ホルモンの分泌が低下する閉経後にはやや増加します。
ビールはプリン体を多く含むため、尿酸値を上昇させます。アルコール自体も尿酸の排泄を妨げる作用があり、発作を引き起こしやすくなります。
激しい運動や脱水によって尿酸値が急上昇したり、ストレスによる尿酸値の変動で発作が誘発されることがあります。
特に薬で急激に尿酸値を下げると発作を誘発することがありますので注意が必要です。
痛風発作を起こすメカニズムとしては血液から溢れ出た尿酸が関節内に蓄積した尿酸結晶を白血球が貪食し、サイトカインが産生され炎症反応が起こると考えられています。
体の中では、毎日ほぼ一定量の尿酸がつくられ、ほぼ同量が主に腎臓から尿中へ排泄されています。しかし、尿酸がつくられすぎたり排泄されにくくなったりして、この産生と排泄のバランスが崩れると、体内に尿酸の量が増えすぎて高尿酸血症になります。バランスが崩れる原因ははっきりとはわかっていませんが、生まれつきの体質である場合がほとんどで、その他に肥満、飲み過ぎ、食べ過ぎ、ストレスなどの要因が関係していると考えられています。
高尿酸血症の原因は以下の3つのタイプに分けられます。
最も重要なのは生活習慣の改善です。食事に関しては、摂取エネルギーを適正に保ち、体重をコントロールします。またプリン体を多く含む食品(以下)は控えるようにします。尿酸値が高いと尿が酸性となり、尿路結石ができやすくなります。そのため野菜、海藻などのアルカリ性食品を多くとるように心がけます。またお酒、特にビールにプリン体が多いのは有名ですが、控えるように指導します。尿酸は尿から排泄されるため、水分を多くとることで排泄が促されます。適度な運動も重要ですが、筋トレなどの激しい運動は逆効果です。
※プリン体が多い食品:レバー、牛ヒレ肉、豚肉、カツオ、エビ、イワシ干物、アジ干物など
生活習慣の改善で尿酸値のコントロールが困難な場合、合併症のリスクが高い場合は薬物療法を行います。
しかしながら生活習慣の改善を行っても尿酸値が改善しない場合で、尿酸値が8.0mg/dl以上で、合併症(腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなど)のある方、尿酸値が9.0mg/dl以上の方、もしくは痛風発作を起こしたことがある、または痛風結節がある方は薬物療法の適応となります。尿酸生成抑制薬、尿酸排泄促進薬を処方し、尿酸値6.0mg/dl以下にコントロールします。
痛風発作時の治療:発作の前兆期にはコルヒチンを内服します。発作が起こってしまった場合は、まずは患部を心臓より高くし、安静、冷却します。また非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)などを内服します。発作は1~2週間続くことがありますが、発作が起こっている間は原則尿酸値を下げる薬は開始しません。発作がおさまってから開始します。ただし、すでに尿酸値を下げる薬を内服されている方で、発作が起きてしまった場合は、そのまま飲み続けてください。
血清尿酸値を急激に低下させようとすると、尿路結石、痛風関節炎を合併したり、薬剤の副作用の頻度をふやすことになります。
尿酸降下薬(尿酸生成抑制薬、尿酸排泄促進薬)は最小量より投与開始することが推奨されています。
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