2026年4月28日

体重が増えてきたとき、単なる食べすぎなのか、体質や病気が関係しているのかと気になる方も多いでしょう。
肥満は見た目の問題だけではなく、血圧や血糖、脂質の状態、心臓や関節など、全身の健康と深く関係します。
この記事では、肥満がどのような状態なのか、どうして起こるのか、肥満になる要因、改善のポイントなどを詳しく解説します。
当てはまる原因を知りたい方、見直しのポイントを知りたい方の参考になれば幸いです。
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肥満とはどのような状態?

肥満とは、体重が重いだけの状態ではありません。
ここでは、肥満の基本的な定義やメタボリックシンドロームとの違いなどについて解説します。
肥満は体脂肪が過剰に蓄積している状態
肥満の本質は、体重の多さではなく、体脂肪の多さです。
筋肉量が多い方は、体重が重くても肥満に該当しないことがありますが、体脂肪が多い方は体重がそれほど多くなくても肥満に近い状態です。
特に、内臓脂肪が問題になりやすく、お腹の深い部分(内臓のまわり)に蓄積して血糖や血圧、脂質の代謝に影響を及ぼします。
生活習慣病のリスクが高まることでも知られているため、内臓脂肪の蓄積は重要なポイントになります。
BMIによる判定
BMIは、身長に対して体重がどの程度かを数値化した指標で、肥満を客観的に評価するために用いられます。
体重だけでは体格差の影響を受けますが、BMIは身長を考慮しているため、自分の体格に対して重いかどうかを比較できるのが特徴です。
| 判定 | BMI |
|---|---|
| 低体重 | 18.5未満 |
| 普通体重 | 18.5~24.9 |
| 肥満(1度) | 25.0~29.9 |
| 肥満(2度) | 30.0~34.9 |
| 肥満(3度) | 35.0~39.9 |
| 肥満(4度) | 40.0以上 |
数値が高くなるほど、生活習慣病のリスクが上がる傾向があります。
なお、BMIはあくまで目安であり、体脂肪率や筋肉量、脂肪のつき方までは判定できません。
肥満症とメタボリックシンドローム
肥満と肥満症は、似ているようで違うものです。
肥満症とは、単にBMIが高いだけでなく、肥満に関連する病気(合併症)を伴う、またはリスクが高い状態を指します。
2型糖尿病や脂質異常症、高血圧、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群などが代表的です。
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積(腹囲=おへそ周りのサイズで計測)に加え、血圧・血糖・脂質の複数に異常が重なった状態を指します。
内臓脂肪症候群とも呼ばれていて、BMIに関わらず診断され、動脈硬化のリスクが高まりやすい点が特徴です。
なぜ肥満になるの?

肥満は食べすぎだけで起こるわけではなく、さまざまな要素が重なり合って進行します。
ここでは、体内で何が起きて肥満につながるかを、仕組みの面から解説します。
余剰エネルギーが脂肪として蓄積される
人の身体は、食事から得たエネルギーを活動や体温維持に使い、使いきれなかった分を蓄えます。
このとき、余ったエネルギーの多くは、脂肪として体内に保存されます。
エネルギーの摂取量が日常的に消費量を上回る状態が続くと、脂肪細胞に蓄えられる脂肪が少しずつ増えていく仕組みです。
一度の食事の問題ではなく、習慣としてのエネルギー過剰が起こっていると肥満につながると考えられています。
血糖値の変動とインスリン分泌が脂肪蓄積に関係する
食事のなかでも特に糖質を摂ると血糖値が上がり、インスリンが分泌されます。
インスリンは、血糖を下げる役割をもつ一方で、余ったエネルギーを脂肪として蓄えやすくする働きもあるホルモンです。
精製された糖質が多い食事や甘い飲料を頻繁に摂ると、血糖値が急上昇しやすくなります。
そのたびにインスリン分泌が強く働き、脂肪の蓄積が進む環境が作られていきます。
内臓脂肪が増えて代謝バランスが変化する
内臓脂肪は単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、体内のホルモンや炎症物質の分泌にも関わる組織です。
内臓脂肪が過剰になると、脂肪細胞の周囲に免疫細胞が集まり、体をサビさせるような炎症物質(TNF-αやIL-6など)が分泌されます。
炎症物質はインスリンの効きを悪くする『インスリン抵抗性』を引き起こし、その結果、血糖が下がりにくくなり、膵臓はより多くのインスリンを分泌する必要が生じて、脂肪が蓄積されやすい状態につながります。
また、中性脂肪が上がりやすくなったり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が下がりやすくなったりして、代謝全体のバランスを崩す要因になる可能性もあります。
肥満の原因|生活習慣

食事内容や量、飲み物の選び方、運動量、生活リズムなどは、体脂肪の蓄積に影響します。
単一の原因ではなく、複数の要素が重なり合っていることが多く見られます。
食事量・間食・飲料からの摂取過多
摂取エネルギー過多は、主食の量だけでなく、間食や飲み物からも生じやすい要素です。
菓子類やスナック、甘い飲料は、満足感のわりにエネルギーが高くなりやすいのが特徴です。
また、アルコールもエネルギー源になるため、飲酒量が多い場合は、脂肪蓄積につながりやすくなります。
間食や飲料を見落としている方も多いため、食事全体の見直しが欠かせません。
糖質・脂質に偏った食事
糖質や脂質に偏った食事は、血糖値の急変動や脂肪蓄積を促し、肥満につながる場合があります。
白米やパン、麺類、甘い菓子などは、血糖値が急上昇しやすい食事です。
また、揚げ物や脂身の多い肉、加工食品が多い食事は、脂質の摂取量が増えがちです。
野菜やきのこ、海藻、たんぱく質を含む食材が少ないと満腹感が持続しにくく、食べすぎにつながることもあります。
食事内容の偏りが体重に影響していないかを、定期的に振り返ることが大切です。
運動量の低下
身体を動かす機会が減ると、消費エネルギーが低下して、余剰エネルギーが脂肪として蓄積されていきます。
デスクワーク中心の生活や、移動の多くを車に頼る生活では、日常の活動量が少なくなるため注意が必要です。
筋肉量が減ると基礎代謝が下がり、同じ食事量でも体重が増えやすい体質に変化します。
運動量が低下している場合、体重増加の要因の一つになっている可能性があります。
生活リズムの乱れ
睡眠不足や不規則な生活、慢性的なストレスは、食欲と代謝の調整を担う仕組みに関わり、肥満につながることが多いです。
睡眠が不足すると、食欲を高めるホルモン(グレリン)が増え、満腹感を伝えるホルモン(レプチン)が低下します。
不規則な生活は体内時計が乱れ、インスリンの効きが低下するため、同じ食事でも血糖値が下がりにくくなります。
強いストレスが続くと食欲にも影響を及ぼし、甘いものや脂っこいものを選びがちです。
また、ストレスホルモンであるコルチゾールが増えると、血糖が上がりやすくなり、高血糖状態になるケースもあります。
ストレスは睡眠の質を下げるため、これらの要因が重なって肥満を後押しすることも考えられます。
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肥満の原因|生活習慣以外

肥満は生活習慣だけでなく、体質や加齢、ホルモンの変化など、本人の努力だけでは調整しきれない要因も関わります。
コントロールしにくい要素を知ることは、無理のない対策を考えるきっかけになります。
遺伝的傾向
家族・親族に肥満の方が多い場合、体質として脂肪を蓄えやすい傾向を受け継ぐことがあります。
例えば、食欲の調整やエネルギー消費量、脂肪細胞の数や働き方などは、生まれつきの個人差です。
ただし、遺伝だけで肥満が決まるわけではなく、環境面の調整を組み合わせることで、体重管理が可能なケースもあります。
加齢の影響
加齢に伴い、身体の構造や代謝は少しずつ変化します。
特に、筋肉量は年齢とともに減少し、基礎代謝は低下します。
基礎代謝が下がると、若い頃と同じ食事量でも余剰エネルギーが生じるため、体脂肪が増えたと感じる方も少なくありません。
また、仕事や家事、移動手段の変化によって活動量が減り、消費エネルギーが落ちることも体重増加につながります。
ホルモンバランスの変化
体重は、複数のホルモンによって調整されていますが、バランスが変化すると、食欲や代謝、脂肪の蓄積に影響が及びます。
例えば、女性の更年期にエストロゲンが低下すると、体脂肪の分布が変わり、お腹周りに脂肪がつくことが多いです。
また、クッシング症候群では、コルチゾール(副腎皮質ホルモン)が過剰になります。
ストレス由来とは異なり、内分泌異常によりコルチゾールが過剰になる状態です。
体重の変化にホルモンの影響が出ている可能性もあるため、気になる症状がある場合は医療機関で検査を受けてみましょう。
病気・薬剤の影響
一部の病気や薬剤は、体重増加に関与する可能性があります。
前述したクッシング症候群や、甲状腺機能低下症などが代表的です。
また、一部の糖尿病薬や抗うつ薬、抗精神病薬、ステロイド薬などは、食欲の変化や代謝の変化を通じて体重に影響する場合があります。
ただし、体重増加が気になっても、自己判断で薬を中止せず、医師に相談のうえ慎重に検討することが重要です。
肥満が関係する主な病気

肥満は血糖・血圧・脂質・炎症・ホルモン環境に影響し、さまざまな病気の発症や悪化と関連します。
| 病名 | 肥満との関係 | 症状 |
|---|---|---|
| 2型糖尿病 | 内臓脂肪増加によりインスリン抵抗性が強まり、血糖が下がりにくくなる | 初期は無症状が多い。進行すると口渇、多飲、多尿、倦怠感、体重減少など |
| 脂質異常症 | 中性脂肪が上がり、HDLコレステロール(善玉)が低下する | 自覚症状はほぼないが、動脈硬化に関連した症状が起こることがある |
| 高血圧症 | 内臓脂肪増加により血管抵抗が高まり血圧が上昇する | 多くは無症状だが、頭痛、めまい、動悸が出ることもある |
| 高尿酸血症・痛風 | 尿酸産生が増え排泄が低下する | 痛風発作で足の指の激痛、発く晴れる、熱感がある |
| 冠動脈疾患
(心筋梗塞・狭心症) |
動脈硬化を進め心臓の血管が詰まりやすくなる | 胸痛、息切れ、冷や汗(心筋梗塞は強い胸痛が持続) |
| 脳梗塞・脳血栓症・一過性脳虚血発作 | 高血圧・糖尿病・脂質異常症を介して脳血管が詰まりやすくなる | 片側の麻痺・しびれ、ろれつ障害、視野障害、めまいなど |
| 脂肪肝
(非アルコール性脂肪性肝疾患) |
インスリン抵抗性により肝臓に脂肪が蓄積 | 進行すると倦怠感、右上腹部の違和感が現れることがある |
| 月経異常・不妊 | 肥満によりホルモンバランスが乱れ、排卵が不規則になる | 月経不順、無月経、妊娠しにくさなど |
| 睡眠時無呼吸症候群 | 首周りや上気道周囲の脂肪増加で気道が狭くなる | いびき、無呼吸、日中の強い眠気、集中力低下など |
| 運動器疾患
(変形性膝関節症・腰痛など) |
体重増加により関節や脊髄への負荷が増える | 膝や腰の痛み、長時間の歩行困難など |
| 肥満関連腎臓病 | 肥満に伴う高血圧・糖尿病・炎症により腎臓に負担がかかる | 進行するとむくみ、尿の異常、倦怠感など |
(参照:「肥満症診療ガイドライン2022」日本肥満学会)
慢性炎症やインスリン抵抗性、ホルモン環境の変化により、がん(大腸がん・乳がん・肝がんなど)のリスクが高まる可能性が指摘されています。
また、体重増加が自己評価を下げることや、ストレスや睡眠障害が続くことにより、精神疾患(うつ病や不安障害など)の可能性も考えられます。
肥満を改善するための取り組み

肥満の改善は、体重そのものを減らすだけでなく、身体の環境を整えることが目的です。
そのため、短時間の極端な制限よりも、続けられる行動の積み重ねが大切です。
食事内容と食習慣の見直し
肥満改善のためには、食事の量に加え、内容と食べ方の見直しが重要です。
例えば、主食は玄米や雑穀、全粒粉パンなどを選ぶと、血糖の上がり方が穏やかになります。
脂身の多い肉ばかりでなく、魚や鶏肉、大豆製品を組み合わせることで、脂質の調整を意識しましょう。
たんぱく質を十分に確保すると、満腹感が持続して間食の頻度が減ります。
また、早食いは血糖を急上昇させるため、よく噛んで時間をかけて食べるのが基本です。
日常の身体活動量を増やす工夫
体重管理では、日常の活動量の底上げを心がけましょう。
通勤や買い物は一駅分歩く、なるべく階段を使う、家事をこまめに行うなど、細かな動きの積み重ねが大切です。
また、筋肉が減ると基礎代謝が下がるため、筋肉量を維持する行動も有効です。
激しい運動をする必要はありませんが、有酸素運動(ウォーキング・水泳など)は脂肪燃焼を後押しし、心肺機能も高める効果が期待されます。
睡眠・生活リズムの安定
睡眠・生活リズムは、肥満改善と深く関係します。
就寝時刻と起床時刻をできるだけ一定にすると、体内時計が整い、食欲や代謝の調整が安定します。
夜遅い食事は血糖の乱高下を招くため、就寝の約2~3時間前には食事を終えるのが重要です。
仕事の関係で生活が不規則な場合は、食事の時間帯を一定に近づける工夫をしてみましょう。
医療機関への相談
自己流の対策だけで改善が難しい場合、医療機関へ相談しましょう。
- BMIが25以上
- 体重が急に増えた
- 糖尿病・高血圧・脂質異常症がある
- 家族に心筋梗塞・脳卒中の既往がある
- 睡眠時無呼吸症候群の疑いがある
- リバウンドを繰り返している
このような場合、肥満外来や内科での血液検査や体組成測定などを行い、医師による専門的な評価が必要です。
食事・運動・生活習慣の指導に加え、状況に応じて薬物療法や漢方薬が検討されます。
まとめ
肥満は体脂肪、特に内臓脂肪が過剰に蓄積し、代謝やホルモン環境などのバランスが変化した状態です。
原因は食事を含む生活習慣だけに限らず、遺伝や加齢などの他の要素が重なることもあります。
改善の基本は、食事の質や活動量、睡眠リズムの安定です。
医療機関への相談も視野に入れ、適切な体重管理に取り組むことが、長期的な健康につながります。
おおや内科 糖尿病・心臓クリニックは、糖尿病内科で肥満外来を行い、医学的な肥満症治療を行っております。
肥満の原因でもある食事と運動、生活習慣の改善を目指した指導とともに、薬物療法や漢方薬による肥満症治療のサポートをさせていただきます。
肥満の原因を知りたい方、体重管理にお悩みの方は、おおや内科 糖尿病・心臓クリニックへご相談ください。
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