2026年6月09日

頭痛が起きた際に、「血圧が高いから頭痛がするのかな…」と不安を覚える方は少なくありません。
しかし、極端な高血圧が頭痛の直接的な原因になる場合もありますが、実は頭痛の痛みによるストレスが原因で、一時的に血圧が跳ね上がっているというケースも多いのです。
この記事では、循環器専門医の視点から、高血圧と頭痛の正しい関係や対処法、日常管理のポイント、受診の目安などを詳しく解説します。
高血圧に伴う頭痛があっても様子を見ていいのかわからない、受診を迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
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高血圧と頭痛の関係
高血圧と頭痛は無関係ではありませんが、「血圧が150〜160程度に上がったから頭痛がする」ということは医学的にはほとんどありません。まずは正しい関係性を知っておきましょう。
軽度〜中等度の高血圧では頭痛が出ないのが一般的
大前提として、軽度(140〜159/90〜99mmHg)ないし中等度(160〜179/100〜109mmHg)の慢性高血圧は、頭痛を引き起こす要因とはならないと考えられています。
【成人の血圧基準(診察室血圧)】
- 正常:140/90mmHg未満
- 軽度:140~159/90~99mmHg
- 中等度:160~179/100~109mmHg
- 重症:180/110mmHg以上
※家庭血圧の場合は、上記よりそれぞれ「-5mmHg」した数値が基準となります
痛みや違和感がないからといって放置すると、血管や心臓への負担は静かに蓄積していきます。これが高血圧はサイレントキラーと呼ばれるゆえんです。
頭痛のストレスで血圧が上がるケースが多い
患者さんによく見られるのが、肩こりなどによる「緊張型頭痛」や「片頭痛」が先にあり、その「痛みのストレス」に身体が反応して交感神経が刺激され、結果的に血圧がポンと上がっているケースです。
この場合、原因は血圧ではなく頭痛そのものにあります。
高血圧性頭痛の注意すべきサインとは
高血圧が直接の引き金となって起こる「高血圧性頭痛」は、『頭痛の診療ガイドライン 2021』でも、その特徴や対処法が重要視されています。
【基本的な特徴】
著しい血圧上昇時に頭痛が出現し、血圧が正常化すると痛みが消失します。
- 目安となる血圧: 収縮期(上)180mmHg以上、および・または拡張期(下)120mmHg以上
【とくに警戒すべき危険なサイン】
上記の血圧上昇に加え、以下の背景やサインを伴う場合は重大な疾患が隠れている可能性があるため、すぐに対処(医療機関の受診)が必要です。
- 高血圧性脳症による頭痛
- 特徴: 180/120mmHg以上の持続的な血圧上昇。
- 伴う症状: 錯乱、昏睡、視覚障害、けいれんなど。
- 褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)による頭痛
- 特徴: 短時間(15分〜1時間未満)で痛みが治まることが多い。
- 伴う症状: 恐怖感、不安、手の震え、吐き気、顔面蒼白、顔の紅潮など。
- 急性の高血圧・頭蓋内出血
- 特徴: 痛みが1分以内にピークに達する、突然の激しい頭痛(雷鳴頭痛)。
- 注意点: 命に関わる危険な頭痛の直接的な原因となるため、絶対に見逃してはいけません。
高血圧で頭痛が起こったときの具体的な対処法
頭痛が起きたとき、感覚だけに頼らず数値と身体の状態を確認しましょう。
ここでは、高血圧で頭痛が起きたときの基本的な対処法と注意点について解説します。
血圧を測定して数値を確認する
まずは落ち着いた環境で血圧を測定しましょう。
痛みが強いときに測ると高く出やすいため、座って5分ほど安静にし、深呼吸をしてから計測するのが基本です。1回だけで判断せず、1~2分おいて再測定し、数値を確認します。
安静・姿勢・環境を整える
測定後は、安静・姿勢・環境を意識的に整えることで、血圧変動と頭痛の悪化を抑えます。
身体への負荷と自律神経への刺激を下げるために、以下の条件を整えましょう。
- 静かで落ち着ける場所(暗めの部屋)に移動する
- 身体を締め付けない楽な姿勢をとる
- ゆっくり呼吸し、激しい動作は控える
水分不足が疑われる場合は少しずつ補給する
脱水状態になると、体内を循環する血液量が減少し、脳への血流が低下したり、血流を維持しようとして脈や血圧が変動したりすることで、頭痛が引き起こされることがあります。
コップ1杯(150〜200ml)程度の水分を、こまめに時間をかけて飲むのが基本です。
自己判断で薬の中断・追加を避ける
頭痛が出ると、薬が効いていないのではと不安になりがちですが、自己判断で薬の中断・追加すると血圧変動が大きくなるため避けてください。
降圧薬は、安定して飲み続けることで血圧の変動幅を小さくする薬のため、指示通りに服用しましょう。自己判断で量を増やすと、過度の血圧低下を招く可能性があり、逆に中断すると反動で血圧が上がる恐れがあります。
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頭痛の原因が高血圧以外にある可能性
高血圧による頭痛以外にも、他の原因で頭痛が起こることは少なくありません。
ここでは、日常的な要因でも起こり得る頭痛について解説します。
緊張型頭痛や片頭痛との違い
高血圧がある方でも、緊張型頭痛や片頭痛が起きることは少なくありません。
緊張型頭痛は、首や肩の筋緊張や長時間の同一姿勢、精神的ストレスが引き金になることが多い頭痛です。後頭部から側頭部にかけて締め付けられるような鈍い痛みがあるのが特徴で、動いても悪化しにくく、吐き気を伴うことはまれです。
片頭痛は、脳の血管が拡張して起こる頭痛であり、こめかみから目の周りにかけてズキズキ拍動する痛みが多く、光や音に過敏になり、吐き気を伴うこともあります。
身体を動かすと痛みが強くなることもあり、月経や睡眠不足、空腹、特定の食品などが誘因になる方もいます。
脱水・睡眠不足・ストレス性の頭痛
脱水・睡眠不足・ストレスは、それぞれ異なる仕組みで頭痛を起こし、痛みの出方や対処も少しずつ異なります。
脱水で起こる頭痛は、体内の水分や電解質のバランスが崩れるのが主な原因で、頭を動かしたときに響くような鈍い痛みが出るのが特徴です。
睡眠不足では、食欲やストレス反応を調整するホルモンバランスが崩れ、交感神経優位が続きます。
自律神経が乱れると痛みを感じやすい状態になり、片頭痛が起こることがあります。
また、ストレスは慢性的な緊張を招き、首や肩の筋肉を硬くし、後頭部から側頭部の痛みを感じる緊張型頭痛につながることが多いです。
目・首・肩の負担による影響
長時間のデスクワークやスマートフォン操作、猫背の姿勢などは、首や肩の筋肉に持続的な負荷をかけます。
筋肉が硬くなると血流が悪化し、周囲の神経や筋膜が刺激されて、後頭部を中心に頭痛が起こる仕組みです。
眼精疲労も頭痛に関与し、例えば近距離作業が続くと目の周囲の筋肉が緊張して、眉間やこめかみの痛みとして感じられることがあります。
軽いストレッチや姿勢を修正する、適度な休憩を摂る、ブルーライトカットレンズを使うなどの工夫をすると、頭痛予防に役立ちます。
高血圧と頭痛を予防する日常管理
「高血圧を改善するための生活習慣」は、そのまま「頭痛(緊張型頭痛や片頭痛など)を予防・改善する習慣」に直結します。
自律神経を整え、血管への負担を減らすことは、血圧の安定と頭痛予防の共通の土台です。
一度にすべてを行う必要はありませんが、できることから継続して積み重ねていきましょう。
高血圧に伴う頭痛の対処としても、日々の生活習慣の見直しは非常に重要です。
血圧測定と記録の習慣化
家庭血圧は、体調や生活の影響を反映し、医療機関の診察室血圧よりも実態をつかみやすい指標です。
測定は朝(起床後1時間以内、排尿後、服薬前)と夜(就寝前)の1日2回が基本となります。
単発の数値ではなく、1週間・1か月単位の傾向を見ることが重要です。
また、頭痛が出た日にはその時の血圧値と一緒に、睡眠不足や肩こり、食事、ストレスなども併せて記録しておきましょう。
『頭痛の診療ガイドライン 2021』でも、頭痛ダイアリーをつけて頭痛の頻度や痛みの強さなどを記録することが推奨されています。血圧手帳と併用して記録することで、診断や治療効果の把握に大きく役立ちます。
塩分・飲酒・食事内容の見直し
塩分の過剰摂取や飲酒の習慣化は血圧を上げ、アルコールの摂取、空腹、脱水、特定の食品などは片頭痛を誘発する要因になり得ます。
高血圧がある方は、1日の食塩相当量を6g未満に近づけることが目標とされています。
(参照:「食塩の知識」日本高血圧学会)
飲酒はアルコールにより交感神経が刺激され、脈や血圧が上がりやすくなります。また、習慣化すると塩分や水分を体内にため込みやすくなります。
血圧が上がる傾向が高まるため、頭痛を伴う高血圧がある方は、飲酒量の見直しもポイントのひとつです。
また、食事内容は野菜・果物・魚・大豆製品を中心に、脂質の質を整えることが血圧安定につながります。
ガイドラインでも片頭痛の予防に有効とされているビタミンB2(リボフラビン)やマグネシウムをはじめ、マグネシウムや亜鉛、ビタミンDなどのミネラルやビタミンを意識して摂取し、食事の際は野菜から先に食べる「食べる順番」を工夫することも、健康的な代謝を保ち血圧を管理するうえで大変有効です。
運動・睡眠・ストレス管理
運動・睡眠・ストレスを管理し適切に整えるほど、血圧の変動幅が小さくなり、頭痛が起きにくい身体の状態に近づきます。
運動は、血管の柔軟性を高め、安静時に血圧を下げる方向に働きます。
ただし、激しい運動は一時的に血圧を上げるため、頭痛がある日は避け、体調が良い日に継続できるように内容を考慮しましょう。
ガイドラインにおいても、睡眠の過不足やストレスが片頭痛の誘因として挙げられています睡眠不足や過度な長時間の睡眠が続くと、食欲を高めるホルモンが増えて交感神経も優位になり、血圧が高めに推移しやすくなります。
就寝時刻と起床時刻をなるべく一定にして、就寝前のカフェインや強い光刺激を避けると、夜間の血圧低下が起こりやすくなります。
また、ストレス管理も欠かせない要素です。
慢性的な緊張は、交感神経を持続的に刺激し、脈拍と血圧を押し上げます。
深呼吸や軽い運動、入浴、趣味の時間など、自分に合った方法でストレスを溜め込まないようにしましょう。
禁煙による血管負担の軽減
喫煙は、ニコチンが交感神経を刺激して、心拍と血圧に影響を与えます。
この反応は1本ごとに繰り返されるため、喫煙習慣がある方ほど血圧の上下動が大きくなり、タバコの煙自体も頭痛の誘因になりやすい状態です。
喫煙は血管の内皮機能を低下させ、血管が収縮しやすく弛緩しにくい状態を作ります。
禁煙を始めると、数週間単位で交感神経の過剰な刺激が減り、血圧の変動幅が小さくなるため、頭痛の頻度が安定してくる方もいます。
長期的に動脈硬化の恐れもあるため、禁煙外来やニコチン代替療法を利用することも検討してみましょう。
処方薬の正しい服用
降圧薬は、飲み続けることで血圧の変動幅を小さくする作用があります。
飲み忘れや自己判断の中断は、反動で血圧を不安定にして、頭痛を招く要因になることがあるため、注意が必要です。
服薬時刻は医師の指示に従い、生活リズムに合わせて固定するとよいでしょう。
また、鎮痛薬を頻繁に服用すると、薬剤過使用頭痛(薬物乱用頭痛)を引き起こすことがあるため、使いすぎないことが重要です。
月に10日または15日以上鎮痛薬を服用している場合は、この薬物乱用頭痛の疑いがあるため、専門医の指導のもとで適切な対処をすることが勧められます。
医療機関の受診目安
頭痛があるときに難しいのは、様子見すべきか、今すぐ受診すべきかの見極めです。
ここでは、早めの受診が必要な症状と救急受診を検討すべきケース、受診時に伝える情報について解説します。
救急受診を検討すべきケース
以下のような症状がある場合、くも膜下出血や脳卒中、高血圧緊急症など、命に関わる病気のサインである可能性が高いため、直ちに救急要請してください。
- 今まで経験したことのない「バットで殴られたような」突然の激痛
- ろれつが回らない、言葉が出ない
- 片側の手足がしびれる、力が入らない
- 視野が欠ける、物が二重に見える
- 激しい嘔吐や、意識がぼんやりする
- 上の血圧が180以上、下が120以上で下がらない
早めの受診が必要な症状とは
緊急性は高くなくても、以下に当てはまる場合は一度医療機関(循環器内科や脳神経外科など)をご相談ください。
- 新しく始まった頭痛が数日以上続く
- 頭痛が徐々に強くなる、頻度が増えている
- 家庭血圧が収縮期140~160mmHg台で推移している
- 鎮痛薬を飲んでも効かない、飲む回数が増えている
受診時に伝える情報を整理しておく
頭痛は検査だけでなく、問診の情報が診断に役立つため、受診前に以下の項目をメモしておくとスムーズです。
- 頭痛の始まり方
- 痛みの部位や感じ方
- 吐き気、めまい、しびれ、視野異常、発熱などの有無
- 最近1~2週間の朝晩の血圧記録
- 降圧薬の飲み忘れがあったか
- 鎮痛薬の種類と使用頻度
- 生活環境や食生活の変化
これらを医師に伝えることで、血圧の問題なのか、他に原因があるのかの絞り込みがスムーズです。
まとめ
「血圧が高いから頭痛がする」というケースは、血圧が極端に高い緊急時を除けば実は少なく、多くは「頭痛などの痛みやストレスによって血圧が上がっている」状態です。
ただし、いつもと違う激しい頭痛やしびれなどの症状がある場合は、重大な病気が隠れている可能性があるため、迷わず救急受診を検討してください。
神戸市灘区(六甲道)のおおや内科 糖尿病・心臓クリニックは、循環器内科の専門医として高血圧症の適切な診断・治療を行っております。
家庭血圧の記録をもとに、高血圧のタイプや頭痛の原因を見極め、一人ひとりに合った治療やお薬の調整を行います。
「血圧が高めで頭痛もあって不安」「自分の血圧管理が合っているか知りたい」という方は、地域の健康をサポートするおおや内科 糖尿病・心臓クリニックへご相談ください。
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